そして袖を少しめくると、強くなった証が見えた。
「私ね、合気道を習い始めたの。
強くなって、秀になんて負けないって。
それでかのんちゃんを守ってあげよう。
いつかは―…本当の彼氏の所に戻してあげようって」
筋肉がついた彼女の腕は、とても敵わないくらいだった。
「ある日かのんちゃんは記憶を取り戻した。
それで秀から離れていった。
あの時の秀ってば、悪いことしていたくせに、泣いていたのよ。
あんな弟は初めて見たわ…」
ケーキを食べ終えると、彼女もカップを置いた。
「だから私が言えることは、大切な人から離れないこと。
誰かのためだと言って、離れたりしないこと。
後で傷つくのは、離れられたほうなんだから」
あたしは頷いて、席を立ち上がった。
「教えてくれて、ありがとうございました」

