好きだからこそ、彼の傍にいたいもの。

暴力なんかじゃない。



きっとうちが悪いことしたんだから。

秀の家の中は、ごちゃごちゃしている。


あちらこちらにゴミが落ちていて、この前片付けたら怒られたっけ。




「……秀のお姉さんってどんなんだろ」


ぼんやりとしていると、チャイムが鳴った。

それを無視して、横になった。



先日、秀はお姉さんがいると教えてくれた。

だから家を開けるな、ときつく言われている。




「秀っ!開けなさいっ!お姉ちゃんよ」


毎日ドアの外で、必死に秀を呼ぶお姉さん。

―…どうしてかな。外に出たいなんて思うの。


―誰でもいいから、うちを連れ出して欲しいと思うの…。