そこでようやく廣クンが、自分の気持ちを押し殺しているのに気づいた。
だとしても、それを止めることなんてあたしには出来ない。
「…そっか」
「ごめんな」
「ううん」
「元気でいろよ」
「うん、廣クンもね」
「あぁ」
ずっと傍にいてくれた人だった。
いつもあたしを悲しませて、本当に酷い人だったくせに。
「じゃあな」
「バイバイ、廣クン」
あたしは逆に、浮気ばかりしていた君のおかげで。
かなり強くなれた。
2度と会うことがなくても。
もう―…話せなくても。廣クンとの思い出は忘れないから。
―だから、彼が幸せになれますように…。