そんな小さい頃のヤツ。

まだ持っていてくれたんだ…。



「やっぱ何かあるんだな?」

「な、んもないよ…?」

「俺を騙せるんだ?」

「…」

「蒼斗でも帰って来てたのかぁ?立ち悪ぃな」

「そんな人じゃないの…。もっと大切な人が…」

「はぁ?アイツ以外にいんのか…よ」



廣クンが言いかけて、何かを察したみたいだった。

あたしの親が海外に行っていることは、廣クンも知っている。



「妃鞠…まさか…」

「…お父さんが海外に来ないかって」



あたしは俯いて、無理して笑った。


「これじゃあ1年後の約束すら、果たせないやぁ」


あはは、と笑うと、廣クンが真面目な表情を浮かべた。


「…じゃあ」