家に着くと、廣クンも自分の家に帰っていった。
リビングに鞄を置くと、ソファに倒れこんだ。
「…もやもやおさまんないなぁ」
―理由なんて分かっている。
今頃、また蒼斗クンとかのんが2人でいたらって…。
―あたしがいるから、2人は結ばれないんだ…。
「……だとしても、突然別れだすのも」
―そんな苦しい思い、もうしたくない。
ワガママなんだろうけど、誰かを失いたくない。
そんな時、リビングのテーブルに髪飾りが見えた。
そっと手に取ると、ジャスミンの形をした、お守りのような髪飾りだった。
「…素敵な彼に出会うか、恋愛運が高まる」
きゅっと握り締めると、花弁が一枚落ちてしまった。
拾おうとしたとき、頭の中にかのんの悲しげな表情が浮かんだ。

