その後、自転車が向かい側からやってくるのを見た。

そして自分の気持ちの中にある、汚いものを消して欲しくて、自分から飛び出していた。


「…それからね。蒼斗」



病室で暗い空気になっても、蒼斗は黙って聞いていた。


私もこれ以上話すのが辛かった。

きっと蒼斗を傷つけるから。



でも蒼斗の元に戻るには、全てを話して、謝るべきだと思った。




「記憶がなくなってから、ずっとその男といたの。

あっちは彼氏だと偽っていたから、信じていたんだ。

でもある日…、偶然蒼斗との写真を、部屋の引き出しで見つけちゃったんだ」


この1年間、蒼斗がいない日々は、胸がぽっかりと空いた気分だった。



「全てを思い出したとき、自分の身体が他の人と触れ合ってしまったことに…。

酷く後悔して、自殺しようと思った…。

それを見かねた、お父さんが貴方に…死んだことにしたみたいで」