「俺だけは信用していいよ」
功クンは立ち上がると、そっと髪に触れてきた。
「…そう。俺だけはね」
「…うん」
そっと功クンの顔が近づいてきた。
その時反射的に、顔を背けていた。
「…どうして俺を拒むんだ」
「…やっぱり廣クンがまだ…。好きみたいなの」
涙がぽたっと零れ落ちる。
「…だってよ、お前もう1回出直して来いよ」
「…廣、クン…」
あたしの視界にキミが映った。
「…妃鞠は本当に純粋なヤツだな。
こんな俺から離れないなんて。
…愛してやるよ」
嘘なんだろうか。
遊ばれているんだろうか。
あたしは小さな頃から、ずっと廣クンが好きだった。
だからこそやっぱり、彼が一番信頼できるのだと分かった。
「…妃鞠、来いよ」
彼の腕の中に納まると、安心感があった。

