浮気彼氏から奪うオトコ。







つい抱きしめていた。

涙がどんどん溢れ出る。


「蒼斗クンっ…」

「…妃鞠ちゃん。俺はもう大丈夫だよ。

幸い腕を切ったぐらいで、他はほとんど怪我ないし」

「……ごめんね」

「平気だよ。妃鞠ちゃんこそ怪我はない?」

「うんっ…ないよ」



温かいぬくもりは消えていなかった。

そう思うと、涙は中々止まってくれない。




そっとあたしの背中を、蒼斗クンは優しくさすってくれた。


「夢の中で、俺の両親が教えてくれたんだ。

彼女は…生きているんだと」

「…うん」


「でも不思議と辛くはなかったんだ」

「え…?」


「眩しい光が見えたと思ったら、妃鞠ちゃんが手を振って待っていてくれたんだ」