浮気彼氏から奪うオトコ。






あたしはベンチから立ち上がると、うんと背伸びをした。



「…蒼斗クンはきっと死なないよね?」

「そうに決まってんだろ?」

「うん…」

「病室行くぞ」



先を歩く廣クンの後についていく。

蒼斗クンの病室前に着くと、自然と震えてしまう。


それを見かねた廣クンは、あたしの背中を押した。



「俺は待っててやるから。行って来いよ」

「廣クンは?」

「俺はここにいる」



あたしが頷くと、廣クンも頷いていた。

そっと病室を開くと、そこには蒼斗クンが起き上がって、座っていた。



「あ、蒼斗クン……」

「…妃鞠ちゃん」



彼は優しげな笑みを浮かべて、こちらを見ていた。