「妃鞠、コイツに何か言ったのか」
「…別に」
もう1度机に伏せると、
「…浮気してんのはてめぇの方だろ。
っは、ソイツと仲良くしろよ」
「何それ、廣クン!酷いよ。
浮気しているのはそっちじゃんか」
「…うるせーな。
オンナがどう騒いでも、男には勝てねぇんだよ。馬鹿が」
冷たい目で睨まれる。
次第に涙が滲んでいった。
功クンは面白げに見つめている。
「あ、廣クンー。ちょっといい?」
その時教室のドアが開いて、女子がやってきた。
「おー」
廣クンはそのまま行ってしまった。
「…あれでも好きと言えるの?」
「…分かんない」
功クンも私で遊びたいだけなんだ。
からかっているんだ。
(…もう、誰も信じたくない)
「キミの心に入るのはいけないことかも知れない。
だけど、俺は今妃鞠ちゃんがそんな瞳していると、
どうしてもほっとけないんだ」
「…あたしはもう、誰も信用なんてしないよ」

