浮気彼氏から奪うオトコ。







「じゃあ、また連絡する。妃鞠もアイツの病室行ってやれよ」

「まだ…病室から出ちゃダメだから。明日行くよ」

「あぁ。じゃあな」



ドアが閉まると、あたしは寝転んだ。



「……記憶喪失」


彼女が生きている。

廣クンは遠まわしにそう言っていた。


もし…彼女が見つかったとしても、蒼斗クンが喜ぶのだろうか。

1年も経った今、再会するなんて―…。




「………何か頭パンクしそう」



さっきまであたしの手を握って。

微笑んでくれた彼が戻ってきてくれるのを信じて、

ゆっくりと目を閉じた。




次の日の朝、蒼斗クンの病室に向かうと、誰かがいた。