浮気彼氏から奪うオトコ。






病室の中が1度、静まった。


「……なぁ妃鞠。俺のこと…まだ好きでいてくれるなら、

協力してほしいんだ」


「……」


「今じゃなくていいんだ。いつか戻ってきてくれたら、

それでいいから…」


放課後の10分間のキス。

あの時から、あたしはずっと廣クンが好きで。

だとしても、今は蒼斗クンがいる。



彼を1人には出来ない。

「…今は何とも言えない」

「そうだよな」


廣クンがそっとあたしに近づいて、キスをした。



「…お前も浮気したな」

「!」

「フン、いいんだよ。こんくらい」



意地悪そうに笑った廣クンはいつも通りで、少しだけ安心した。