浮気彼氏から奪うオトコ。






あたしから少しだけ距離を置いた廣クンは、

ゆっくりと手を伸ばした。

そしてあたしの手を握り締めると、




「妃鞠…信じろよ。帰ってくるよ。絶対」

「…信じたいよ…。でも」

「アイツならきっと…、両親がどうにかしてつれて帰ってくるぜ」

「…両親?」

「……親を早く亡くしたんだ。だからアイツが死ぬわけがねぇんだ」



そういった廣クンは、蒼斗クンを信じているようだった。



「なぁ…妃鞠。もし…アイツの彼女が生きていたとしたら、どうする?」

「え…?」

「生きていたとして、会いに行くべき?

それとも…あっちから来るのを待つべきだと思う?」



何かを抑えるように言う、廣クンの手を握り返した。



「あたしは…待ってなんかいられないよ…」