「もし、俺が空になったら。
妃鞠ちゃんを見守っているよ」
「空になるの?海じゃなくて?」
「空ならすぐに妃鞠ちゃんを見つけられるし、
彼女だって生きていたら見つけられる」
空は綺麗だもんね、って言うと蒼斗クンは微笑んでいた。
「でも急にどうしたの?空になりたいなんて」
「何となくだよ」
「いつもの気まぐれ?」
「そうそう」
気まぐれな蒼斗クンは、時々不思議なことを言う。
何かを予想しているようにも思えて。
「ねぇ蒼斗クン」
「ん?」
「まだ空にならないでね?」
あたしは蒼斗クンが、心配だった。
もし彼女を見つけてしまえば、どこかへ行ってしまいそうだから。

