浮気彼氏から奪うオトコ。






「…もし彼女が生きていたなら、

俺は彼女に会うべきか分からないんだ」


―行方不明になって、死んだはずの彼女。

それなのにいるかも知れないなんて…。



「…もし見つけたときは、妃鞠ちゃんも来てくれる?」


自信なさげに蒼斗クンは呟く。

あたしは深く頷いた。


「勿論だよ!1人より2人だもんねっ!」

「え…?」

「ん?」


あたしはニコッと微笑むと、蒼斗クンは真っ青な表情を浮かべていた。



「どうしたの?」

「い、いや。何でもないよ」


何でもないようには見えないけど、蒼斗クンは言いたくなさそうだった。

だからあたしは、それ以上聞かないようにした。




このときは、まだ何も知らなかった。

死んだはずの彼女との再会が、もうすぐ近づいていることに―…。