「俺、あんたのこと。ずっとライバル視してきた」


裏真がぽつりと呟いた。

それから近くにあった自販機で、コーヒーを買い、俺に渡してきた。




「でもお前もお前で、妃鞠のこと、同情していたんだろ?」

「同情…?」

「お互い失ったもの同士で」

「…あぁ、そうかもね」



「それに、言ったじゃねぇか。お前が俺に「孤独になる」って」

「あー……」



勘違いしていたとしても、俺って結構酷いことしているよね…。

苦笑していると、裏真は飲み終えた缶を、ゴミ箱に軽く投げ込んでいた。



「とっくの昔になってたんだよ」

「あんなにもてた君が?」

「お前だってわかんだろ?モテたとしても、オンナなんて顔だけで。

本当は誰からも思われていないなんてさ」




そういったコイツは、凄く悲しそうだった。


俺は黙って缶を見つめていた。