「何で聞いてるんすか…」
呆れ顔で俺が言うと、妃鞠の母さんは俺の肩を掴んだ。
「何があったのか分からないけど…。
妃鞠とまたよりを戻して欲しいわ……。
貴方といるとき、妃鞠は小さい頃から幸せそうだったのよ…。
よりを戻すには、廣クンが素直になるのよ!」
「はぁ…まあ、妃鞠を簡単に渡したくなかったんですが…」
―あの男はきっと、弱った妃鞠の心に漬け込んでるだけだ…。
俺は必死に、強気になった。
「戻ってきてくれるように、努力はしますよ」
そして妃鞠の家を出ると、冷や汗が出てきた。
腕で拭うと、ため息が出てしまう。
「そんなん…難しそうだけどな……」
「何呟いてんの?ていうか、どうして君が妃鞠ちゃんの家にいるの?」
最悪なヤツと遭遇したんですけど…、これって修羅場じゃね?

