―廣Story*
俺は妃鞠が休むと聞いて、学校を抜け出してきた。
正直、妃鞠と別れてから、家に行くのはまずいだろうって思った。
でも…俺はまだ何も伝えていない。
伝えるだけなら、きっと妃鞠は許してくれる。
それに妃鞠に言いたいことが幾つもあった。
―素敵な人が他にいる。
そんな人、そりゃあいるだろう。
でも俺にとっての素敵な人は、アイツだけだから。
妃鞠ともう1度離れるなんてごめんだ。
せめて俺の思いだけでも伝えたい。
嫌われる覚悟をして、妃鞠の家をノックした。
そこには中々帰らないはずの、妃鞠の母親がいた。
「あら…廣クン。久しぶりね」

