Trick or Treat?



あれ、っと。

なんで、そんなに由良くんは嬉しそうにいたずらされようとしてるの?


「はい、ドーゾ」


そういいながら、由良くんが口元を釣り上げて、私にいたずらされるのを待つように言う。


ちょ、ちょ、ちょ。

待って、その展開は私、読めてないッス!!


神崎くん、こ、この場合はどうすればいいんですか?



「まだ?」


由良くんが、私を急かすように微笑んだ。だからなんでいたずらされるほうが喜んでるんですかっ!



「え、ええっと」


私はとりあえず由良くんの方へ一歩。



「じゃあ、とりあえず目、閉じてください」


やばいと感じたときにすぐ私が逃げられるように。

と、言わないけれども。


由良くんは少しだけ驚いた顔をした後、ん、と言って目を閉じた。