「じゃ、食堂いく?」 そういって立ち上がった由良くん。 ちょ、困るよっ! 私はあわてて、由良くんの制服を掴んで今まさに一歩踏み出そうとしていたのを止める。 「……どした?」 「ええっと、ですね」 ───由良の気持ちを確かめる、チャンスだろ。 神崎くんの言葉が、頭の中に響く。 そうだ、ここを逃したら、私が一生由良くんからその言葉を聞くことがないかもしれないのだから。 「とっ、」 くっと息を飲む。 「とりっくおあ、とりーと!」