あっという間に哺乳瓶の中身はなくなってしまった。
栄太君が哺乳瓶から口を離した。
誠司さんが哺乳瓶を置いて背中をさすると「げぷ」っと小さくげっぷした。
本当に飽きない。赤ちゃんて。
「ううー。あうっ」
栄太君が誠司さんの腕の中で窮屈そうに体をよじっている。
誠司さんは、栄太君を腕から下ろして、床に座らせた。
すると、栄太君ははいはいをして移動して、私の方にやってきた。
「あっ。あう」
栄太君がすぐそばに来て、私の膝に両手を乗せた。
その手がちっちゃくて、手首のところや肘のところもくびれててプニプニだ。
ほっぺたもふっくらしてて、触ると気持ち良さそう……
何かもう、栄太君にメロメロになっちゃう。
「こっ……こっ」
栄太君がそんな声を出しながら、私の膝の上に乗ってこようとしている。
乗ろうとしていても、流石に大変そうに足をじたばたさせている状態だけれど。
「ん? 何?」
「栄太、雛ちゃんに抱っこしてほしいみたいだな」
少し戸惑う私に誠司さんが言った。
「えっ?」
「こっこぉー」
栄太君は私に向かって手を伸ばしてくる。
ちゃんとした言葉にはなっていないけれど、初めて言葉らしい言葉を聞いた。
これにはきゅーんとなっちゃって。
「抱っこって、普通にしたらいいの?」
赤ちゃんの扱いが分からない私は誠司さんに聞いた。
「うん。腋の下に手、入れて持ち上げて……」
誠司さんが言うようにして、私は栄太君を持ち上げる。
ちっちゃな見た目だけど、意外とずしっと重い。
座っているから、膝の上に置いて、腕で栄太君を支えてる感じだ。
栄太君は、私に体重を預けてくる。
私が着てるキャミソールの胸元をしっかり掴んでいる手が、なんともいえないくらい可愛い。
慶太君は無理みたいだけど、栄太君は懐いてくれるのかな。
こんな風に安心しきった様子で腕の中に納まってくれるということが、すごく嬉しかった。


