「馬鹿、しーっ!!」

木下君に慌てて口を押さえられる。
いきなりまた近くなった距離に心臓が早く動く。


「生徒指導の先生に見つかったら面倒だろーがよ。」

私の耳元で小声でそう続ける木下君。
た、確かに…。


私は口を押さえられたままなのでとりあえずコクコクと頷く。


はぁー、とため息をつきながら手を離してくれた。

「とりあえず、教室。」

行くぞ、と言いながら私の前を歩き出してくれた。
もしかしたら、私の為に…?

考えすぎかな。
でも、私の為だったら嬉しいな。

そう思ったらついにやけてしまう。