「もしもし。」

『おう。』


そんな生活を始めて3週間程が経ち、テレビは梅雨明けを伝えていた。

電話越しの彼の声は今日も変わらず心地よく温かい。



『今日は何してた?休みだったんだろ?』

「うん。料理したり、掃除したりかな。」

『そっか。食いたいな~明日実のご飯。』


彼の家へ行き2人分のご飯を作ることが、すっかり私の生活の一部になっていた。

彼は毎日何を食べているんだろう。



「仕事、どう?」

『大丈夫だよ。何も変わりない。』

「なら良かった。」


今日も「会いたい」という一言を飲み込む。

仕事のことは、いつ聞いても同じ返答だった。


本当にあの人は反省していて、もう私たちの前に現れる気なんてないのかもしれないと思いたい。



「はるくん。」

『ん?』

「会いたいよ。」

『会いたいな。』


思いきって口に出した一言に、彼も同じ言葉を返してくれる。

だけど2人とも「会おうよ」とは言わない。


この終わりの見えない離れ離れに、寂しさは増していくばかりだ。