私は、相沢さんの話を聞いて、ポカンと口を開けるしかなかった。
鳩が豆鉄砲を食ったような顔とは、このことを言うのだろう。
相沢さん曰く、深月や華恋が校内中に置いてある機械を、学校が借りている講堂へと持っていった。
そこで、教育委員会や警察、裁判所の人間も集
めて、機械の映像の上映会を行う予定だった。
その情報を、裏掲示板にわざと流した。
そして、それをさせまいとする月野纏たちは、ウチの高校の校内に必ず乗り込んでくると踏んだ。
そして、予想通り、目を三角にして、凶器を片手に乗り込んできたという。
そこを、一網打尽にしたのだ。
月野纏は、校内に私服で潜んでいた屈強な警察の面々が身柄を確保。
それ以外の男達は、琥珀と、その父親。
さらに、麗眞くんの父親がボコボコにしたらしい。
だからあんなに、風船のように顔が腫れ上がっていたのだ。
騒ぎを聞きつけてきた、金でテストの点数を買い、一緒になっていじめをしていた女子生徒たちも男子生徒たち。
彼らは全員、麗眞くんの父親が1発ずつ殴ったらしい。
そして、彼らはその場で、退学を言い渡されたそうである。
そして、まだ病室の床に倒れている担任を見やって、言った。
「彼は、調べれば調べるほど、真っ黒な人間でした。
そして、その秘密を今日、あろうことか理名様の前でバラされた。
逆上して、理名様本人、あるいはそれ以外のご友人のどなたかを襲うであろうことは、容易に想像がつきました。
だからこそ、隠れられる場所がある広い病室に理名様を運んで頂くようにお願いをいたしました。」
そこまで行ったところで、見知らぬ女性がドアを開けて入って来た。
「コイツね、森田って男は」
髪はハーフアップ、ギンガムチェックのブラウスに、カーキのカーゴパンツを履いて、ヒールの音を鳴らして病室の奥に進む。
「あー、茜伯母さん!」
麗眞くんの声がする。
「もう、蓮太郎ったら!
人遣い荒いんだから!
あ、麗眞、元気そうで良かったわ」
彼女は、文句を言いながら病室の床に突っ伏している男の首根っこを掴み、両手に手錠を嵌めた。
そして、彼を引きずるようにして病室を出て行った。
嵐が過ぎ去った後のようだった。
「今の、誰?」
「ん?
茜さん。
俺の親父の姉。
もう1人の姉貴は、検事長やってる。
だから、忙しいの。
親父は月野纏関係で手が離せなかったから、呼ばれたんじゃね?
暇そうな茜伯母さんが」
しばらく、静寂が訪れた。
その静寂を破ったのが、見知った明るい声だった。
「理名!
もう、こんな思いしなくていいんだよ!」
「そうそう。
ちゃんと学校行けるよ」
深月と華恋だった。
「よかったな、理名ちゃん」
「よかったですね。
そして、何より、深月様のおかげですね。
彼女がいなければ、最悪の事態になっていたかと」
頭の中に、クエスチョンマークが浮かんだ。
深月は、私の横たわるベッドの側に椅子を置いて座ると、ゆっくり話してくれた。
鳩が豆鉄砲を食ったような顔とは、このことを言うのだろう。
相沢さん曰く、深月や華恋が校内中に置いてある機械を、学校が借りている講堂へと持っていった。
そこで、教育委員会や警察、裁判所の人間も集
めて、機械の映像の上映会を行う予定だった。
その情報を、裏掲示板にわざと流した。
そして、それをさせまいとする月野纏たちは、ウチの高校の校内に必ず乗り込んでくると踏んだ。
そして、予想通り、目を三角にして、凶器を片手に乗り込んできたという。
そこを、一網打尽にしたのだ。
月野纏は、校内に私服で潜んでいた屈強な警察の面々が身柄を確保。
それ以外の男達は、琥珀と、その父親。
さらに、麗眞くんの父親がボコボコにしたらしい。
だからあんなに、風船のように顔が腫れ上がっていたのだ。
騒ぎを聞きつけてきた、金でテストの点数を買い、一緒になっていじめをしていた女子生徒たちも男子生徒たち。
彼らは全員、麗眞くんの父親が1発ずつ殴ったらしい。
そして、彼らはその場で、退学を言い渡されたそうである。
そして、まだ病室の床に倒れている担任を見やって、言った。
「彼は、調べれば調べるほど、真っ黒な人間でした。
そして、その秘密を今日、あろうことか理名様の前でバラされた。
逆上して、理名様本人、あるいはそれ以外のご友人のどなたかを襲うであろうことは、容易に想像がつきました。
だからこそ、隠れられる場所がある広い病室に理名様を運んで頂くようにお願いをいたしました。」
そこまで行ったところで、見知らぬ女性がドアを開けて入って来た。
「コイツね、森田って男は」
髪はハーフアップ、ギンガムチェックのブラウスに、カーキのカーゴパンツを履いて、ヒールの音を鳴らして病室の奥に進む。
「あー、茜伯母さん!」
麗眞くんの声がする。
「もう、蓮太郎ったら!
人遣い荒いんだから!
あ、麗眞、元気そうで良かったわ」
彼女は、文句を言いながら病室の床に突っ伏している男の首根っこを掴み、両手に手錠を嵌めた。
そして、彼を引きずるようにして病室を出て行った。
嵐が過ぎ去った後のようだった。
「今の、誰?」
「ん?
茜さん。
俺の親父の姉。
もう1人の姉貴は、検事長やってる。
だから、忙しいの。
親父は月野纏関係で手が離せなかったから、呼ばれたんじゃね?
暇そうな茜伯母さんが」
しばらく、静寂が訪れた。
その静寂を破ったのが、見知った明るい声だった。
「理名!
もう、こんな思いしなくていいんだよ!」
「そうそう。
ちゃんと学校行けるよ」
深月と華恋だった。
「よかったな、理名ちゃん」
「よかったですね。
そして、何より、深月様のおかげですね。
彼女がいなければ、最悪の事態になっていたかと」
頭の中に、クエスチョンマークが浮かんだ。
深月は、私の横たわるベッドの側に椅子を置いて座ると、ゆっくり話してくれた。