その時、先生が麗眞くんのいる男子部屋に戻ってきた。
「うわ、いたのバレたし……」
「ごめんなさい、すぐ自分たちの部屋に戻りますー!」
華恋が言うと、先生は怒るどころか、次に衝撃的な言葉を放った。
「関口美冬、知らないか?」
「ふえ?」
こんなことを聞いてきたから、つい拍子抜けな言葉が出てしまった。
「部屋にいるはずですけど」
先生が首を振りながら答える。
「部屋のすべてがオートロックで外からは開かないだろ?
マスターキーで開けたが、関口美冬はいなかった」
どこ行ったのよ、美冬……!
華恋と深月が、走って部屋を飛び出す。
その時、麗眞くんが電話で話し始めた。
「はあ?
ちょ、なんでそんなことに……
あ、なるほど。
了解。
相沢、南、頼んだ。
伊藤先生も連れてすぐ行く」
麗眞くんの焦った声がした。
何かあったようだ。
電話を切りながら、気付かなかった、とかうかつだった、とか言っていたのが引っかかった。
「賢人くんが美冬ちゃんを探してこのホテルの屋上まで来た。
そこまでは良かった。
美冬ちゃんのリスカを止めようとして揉み合いになった。際に賢人くんの肩にはさみが刺さったそうだ。
はさみは携帯用の小さいやつだったし、軽傷らしい。
一応椎菜が午前中までいた病院に運んでる最中だそうだ」
美冬、なんで、なんでリスカなんてバカなことを!
美冬は何にも悪くないのに!
エレベーターホールにいたのは、さっき部屋を飛び出していった、華恋と深月だった。
華恋が話し出す。
その内容に、皆開いた口が塞がらなかった。
「皆。
言ってなくて、ごめんね。
美冬はパニック障害なの。
そのことは、私も、幼なじみの賢人くんも知ってるわ。
症状が出始めたら、屋上とか、その時に思いつく、1人になれる場所に行くのが定番だった。
だからこそ、彼はすぐにわかったんんだと思うわ、美冬の居場所が」
深月がその後を続ける。
この手の話題には、彼女の方が明るい。
「……パニック障害。
代表的な症状、パニック発作。
何の予兆もなく急に胸がドキドキし、息が苦しくなり、めまいや吐き気などの発作のような身体症状があらわれる。
さらに、『このまま自分は死んでしまうのではないか』というくらい、強く不安を感じる病気のこと。
自殺を考える率は高くない。
だけど、うつ病を併発している場合は、話は別になる。
そうでない場合に比べて、3倍にも増える。
パニック障害の場合、「死にたいほどつらい」という気持ちが強まった結果、そうした行為をしてしまうことが多い。
さっきの美冬の場合も、そう。
不安になったのよ。
きちんと返事をしないことで、賢人くんにも迷惑を掛けた。
自分のことなのに、はっきり決められない。
そんな自分には価値がない。
そんな風に思ってしまったのでしょうね。
不安や焦燥感が強くなると、そういうマイナスの感情から逃げようと、衝動的な行動をとるから。
ココロが壊れるのを、防ぐために」
深月の的確な解説に、この場いた誰しもが二の句が継げずにいた。
さすが、カウンセラーの娘……
「椎菜、伊藤先生呼んできてくれる?」
頷いた彼女だが、次の瞬間、私達の目に飛び込んできたのは、廊下を小走りでこちらに向かう伊藤先生だった。
「麗眞くんの執事さんから事情は聞いたわ。
行きましょ!」
皆で、ホテルの外に停まっていたワゴン車に乗り込んだ。
麗眞くんが中仲良さげに喋っているところを見ると、乗っている人も宝月家の知り合いなのだろう。
ワゴン車が病院に着いた頃、病院の外から凛さんが出てくるのが見えた。
「凛さ……凛先生!」
美冬ちゃんは?」
「大丈夫。
貴女のお友達と、その幼馴染さんも無事よ。
手首の傷もためらい傷みたいだったし。
幼馴染さんのは、思ってたよりちょっと深く刺さってたものでビックリしたけど出血の割に傷は浅いわ」
「よかった……」
凛さんの言葉に、皆がパタパタと駆け込んできて、彼女に向かって頭を下げた。
「ありがとうございます。
美冬が無事で良かったです」
「美冬ちゃんも、その幼馴染さんの方も、意識は戻ってるわ。
幼馴染さんの方は、肩の傷が少々、痛々しいけど。
包帯も明日には取れるから心配ないけどね。
若いと傷の治りも早いのよね、羨ましいわ。
さあ、様子を見に行ってあげたら?」
凛さんの言葉に、真っ先に華恋が早足で美冬のいる病室に向かった。
そして、それから数分も経たないうちに、病室に乾いた音が響いた。
病室のドアを音を立てないように開くと、華恋が美冬の頬を平手で叩いたところだった。
「美冬、約束忘れたなんて言わせないから!
美冬が学級委員だったとき、テストでカンニングした人を注意して、逆にアンタがその濡れ衣を着せるいじめを受けたこと、覚えてる?
私が身代わりになって濡れ衣を着せられる側になって、美冬へのいじめは収束した。
それを気にかけた美冬は、その時、小学校の屋上前で切れ味の悪いハサミで今回みたいにリスカしようとしたよね。
その時、約束したよね?
もう絶対こんなことしないって。
口約束でも約束だよ!
その時『もうこんなことしないとちかいます みふゆ』って平仮名でプリントの裏に書いてあるの、
私、今でも持ってるんだから!!
私、今美冬にすっごい裏切られた気分。
だけど、別に縁切ろうとは思わない。
もう絶対しないで。
もう一回言うけど、口約束でも約束だから。
美冬が忘れても私と、後ろで聞いてる皆が覚えてるから!」
「きらいに、なった?
わたしの、こと」
ゆっくり、一度だけ瞬きをすると、ぽつりと言葉を口にした美冬。
「そんなわけないじゃん。
私は、ずっと好きだし美冬の親友だよ?
ね、美冬」
目元を手でそっと抑えながら、美冬を抱きしめて、病室を出て行った華恋。
彼女を追いかけようとした誰かを、麗眞くんが止める。
「追うな、落ち着かせてやれ。
アイツも、いくら友達のためとはいえ、人前で友達に平手打ちなんてしたくなかっただろう。
感情的にいろいろ言った後で頭冷やしたいんだと思う」
そう言って、電話が出来るスペースに向かった彼。
待っていると、深月が、皆から少し離れたところの床に座り込んで、床を何度も握りこぶしで叩いているのが見えた。
ただ、腹の底から絞り出したような悲痛な叫びは、皆の耳にも届いていた。
「なによ!
私の、バカ‼
自分が、許せない‼
これでも、カウンセラーの娘、なの!?
ありえない‼
私が、美冬がパニック障害だったなんて、全く気がつかなかった!
知見は、お母さんほどじゃないにしても、それなりにあるって、自負してたのに!
気付いてさえいれば!
美冬も、賢人くんも。
こんな目には、遭わせなかった!
ほんと……ばか……」
私も、こんな気持ちになった。母の葬儀を終えた後だ。
家の柱を、自分の気の済むまで握りこぶしで叩いた。
拳が切れて血が滲んでいるのにも、気づかないまま。
……目の前で再現VTRを見せられている気分だった。
「深月!
もう終わり!
これ以上は、言うな!」
大きく息を吸い、捲し立てる。
深月の母は、プロだ。
それに比べて深月は、まだ高校生。
まだ子供だよ、二十歳にもなってない。
そんな人が、プロみたいにできたら、異端児だよ、天才だよ!
でも、深月は普通の高校生なの!
違う?
ここに、このオリエンテーションに、深月の母が参加していたわけじゃない!
どれだけ、母の影響で知識があるって思っていたって、所詮は素人なの!
私だって、ここにいる凛さんに頼るしかないの!
資格も、経験も、知識も、まだ追いつかないから。
まだ若い私たちは、『自分の母』っていう、いつか追いつき追い越す目標に向かって、努力できる。
未熟だって分かったのなら、そうするしか道はない。
そうでしょ?
自分を責めるな!
そんなことをしてる暇があったら、努力しようよ。
深月も、美冬も。
美冬のことを言わなかった華恋も。
誰も悪くない!
自分を責める理由なんて、何もないんだよ!
分かったら、これ以上泣くな!
自責の言葉を、吐くな!
この話は、ここで終わり!」
…………。
気がついたら、同じ病棟にいた人の視線が、一斉に私の方に向いた。
ちょっとした演説のようになってしまった。
言い過ぎたみたいだ。
気付いたら、呼び捨てにしてしまっていた。いや、あの女湯で呼び捨てでいいと決めたからいいのか。
「その熱さ。
いつもの論理的な思考はどこにいったの?
そう言いたくなるくらい、情に熱くなるの。
正しいことは正しい、間違っていることは間違っていると、ちゃんと自分なりに判断できる強さ。
医療従事者として、大事な素質よ。
そういうところも、鞠子さんにそっくりよ?
そういう素質を、ちゃんと見抜いていたのね。
さぁ、皆、早く屋上に向かいなさい。
皆をホテルまで送るための車が来てるわ」
凛さんが、拳に血が滲んだ深月ちゃんの手に包帯を巻きながら、そう言ってくれた。
そして、麗眞くん以外の皆は、リムジンに乗せられた。
麗眞くんとは、ここでお別れらしい。
華恋ちゃんの姿は見当たらないままだ。
「ああ、華恋ちゃんなら、ドクターヘリを出発させるところだった南さんに頼んで先に送らせた。
俺は相沢の車で研修センター戻るから。
おやすみ」
リムジンに乗って、ホテルに戻った。
「うわ、いたのバレたし……」
「ごめんなさい、すぐ自分たちの部屋に戻りますー!」
華恋が言うと、先生は怒るどころか、次に衝撃的な言葉を放った。
「関口美冬、知らないか?」
「ふえ?」
こんなことを聞いてきたから、つい拍子抜けな言葉が出てしまった。
「部屋にいるはずですけど」
先生が首を振りながら答える。
「部屋のすべてがオートロックで外からは開かないだろ?
マスターキーで開けたが、関口美冬はいなかった」
どこ行ったのよ、美冬……!
華恋と深月が、走って部屋を飛び出す。
その時、麗眞くんが電話で話し始めた。
「はあ?
ちょ、なんでそんなことに……
あ、なるほど。
了解。
相沢、南、頼んだ。
伊藤先生も連れてすぐ行く」
麗眞くんの焦った声がした。
何かあったようだ。
電話を切りながら、気付かなかった、とかうかつだった、とか言っていたのが引っかかった。
「賢人くんが美冬ちゃんを探してこのホテルの屋上まで来た。
そこまでは良かった。
美冬ちゃんのリスカを止めようとして揉み合いになった。際に賢人くんの肩にはさみが刺さったそうだ。
はさみは携帯用の小さいやつだったし、軽傷らしい。
一応椎菜が午前中までいた病院に運んでる最中だそうだ」
美冬、なんで、なんでリスカなんてバカなことを!
美冬は何にも悪くないのに!
エレベーターホールにいたのは、さっき部屋を飛び出していった、華恋と深月だった。
華恋が話し出す。
その内容に、皆開いた口が塞がらなかった。
「皆。
言ってなくて、ごめんね。
美冬はパニック障害なの。
そのことは、私も、幼なじみの賢人くんも知ってるわ。
症状が出始めたら、屋上とか、その時に思いつく、1人になれる場所に行くのが定番だった。
だからこそ、彼はすぐにわかったんんだと思うわ、美冬の居場所が」
深月がその後を続ける。
この手の話題には、彼女の方が明るい。
「……パニック障害。
代表的な症状、パニック発作。
何の予兆もなく急に胸がドキドキし、息が苦しくなり、めまいや吐き気などの発作のような身体症状があらわれる。
さらに、『このまま自分は死んでしまうのではないか』というくらい、強く不安を感じる病気のこと。
自殺を考える率は高くない。
だけど、うつ病を併発している場合は、話は別になる。
そうでない場合に比べて、3倍にも増える。
パニック障害の場合、「死にたいほどつらい」という気持ちが強まった結果、そうした行為をしてしまうことが多い。
さっきの美冬の場合も、そう。
不安になったのよ。
きちんと返事をしないことで、賢人くんにも迷惑を掛けた。
自分のことなのに、はっきり決められない。
そんな自分には価値がない。
そんな風に思ってしまったのでしょうね。
不安や焦燥感が強くなると、そういうマイナスの感情から逃げようと、衝動的な行動をとるから。
ココロが壊れるのを、防ぐために」
深月の的確な解説に、この場いた誰しもが二の句が継げずにいた。
さすが、カウンセラーの娘……
「椎菜、伊藤先生呼んできてくれる?」
頷いた彼女だが、次の瞬間、私達の目に飛び込んできたのは、廊下を小走りでこちらに向かう伊藤先生だった。
「麗眞くんの執事さんから事情は聞いたわ。
行きましょ!」
皆で、ホテルの外に停まっていたワゴン車に乗り込んだ。
麗眞くんが中仲良さげに喋っているところを見ると、乗っている人も宝月家の知り合いなのだろう。
ワゴン車が病院に着いた頃、病院の外から凛さんが出てくるのが見えた。
「凛さ……凛先生!」
美冬ちゃんは?」
「大丈夫。
貴女のお友達と、その幼馴染さんも無事よ。
手首の傷もためらい傷みたいだったし。
幼馴染さんのは、思ってたよりちょっと深く刺さってたものでビックリしたけど出血の割に傷は浅いわ」
「よかった……」
凛さんの言葉に、皆がパタパタと駆け込んできて、彼女に向かって頭を下げた。
「ありがとうございます。
美冬が無事で良かったです」
「美冬ちゃんも、その幼馴染さんの方も、意識は戻ってるわ。
幼馴染さんの方は、肩の傷が少々、痛々しいけど。
包帯も明日には取れるから心配ないけどね。
若いと傷の治りも早いのよね、羨ましいわ。
さあ、様子を見に行ってあげたら?」
凛さんの言葉に、真っ先に華恋が早足で美冬のいる病室に向かった。
そして、それから数分も経たないうちに、病室に乾いた音が響いた。
病室のドアを音を立てないように開くと、華恋が美冬の頬を平手で叩いたところだった。
「美冬、約束忘れたなんて言わせないから!
美冬が学級委員だったとき、テストでカンニングした人を注意して、逆にアンタがその濡れ衣を着せるいじめを受けたこと、覚えてる?
私が身代わりになって濡れ衣を着せられる側になって、美冬へのいじめは収束した。
それを気にかけた美冬は、その時、小学校の屋上前で切れ味の悪いハサミで今回みたいにリスカしようとしたよね。
その時、約束したよね?
もう絶対こんなことしないって。
口約束でも約束だよ!
その時『もうこんなことしないとちかいます みふゆ』って平仮名でプリントの裏に書いてあるの、
私、今でも持ってるんだから!!
私、今美冬にすっごい裏切られた気分。
だけど、別に縁切ろうとは思わない。
もう絶対しないで。
もう一回言うけど、口約束でも約束だから。
美冬が忘れても私と、後ろで聞いてる皆が覚えてるから!」
「きらいに、なった?
わたしの、こと」
ゆっくり、一度だけ瞬きをすると、ぽつりと言葉を口にした美冬。
「そんなわけないじゃん。
私は、ずっと好きだし美冬の親友だよ?
ね、美冬」
目元を手でそっと抑えながら、美冬を抱きしめて、病室を出て行った華恋。
彼女を追いかけようとした誰かを、麗眞くんが止める。
「追うな、落ち着かせてやれ。
アイツも、いくら友達のためとはいえ、人前で友達に平手打ちなんてしたくなかっただろう。
感情的にいろいろ言った後で頭冷やしたいんだと思う」
そう言って、電話が出来るスペースに向かった彼。
待っていると、深月が、皆から少し離れたところの床に座り込んで、床を何度も握りこぶしで叩いているのが見えた。
ただ、腹の底から絞り出したような悲痛な叫びは、皆の耳にも届いていた。
「なによ!
私の、バカ‼
自分が、許せない‼
これでも、カウンセラーの娘、なの!?
ありえない‼
私が、美冬がパニック障害だったなんて、全く気がつかなかった!
知見は、お母さんほどじゃないにしても、それなりにあるって、自負してたのに!
気付いてさえいれば!
美冬も、賢人くんも。
こんな目には、遭わせなかった!
ほんと……ばか……」
私も、こんな気持ちになった。母の葬儀を終えた後だ。
家の柱を、自分の気の済むまで握りこぶしで叩いた。
拳が切れて血が滲んでいるのにも、気づかないまま。
……目の前で再現VTRを見せられている気分だった。
「深月!
もう終わり!
これ以上は、言うな!」
大きく息を吸い、捲し立てる。
深月の母は、プロだ。
それに比べて深月は、まだ高校生。
まだ子供だよ、二十歳にもなってない。
そんな人が、プロみたいにできたら、異端児だよ、天才だよ!
でも、深月は普通の高校生なの!
違う?
ここに、このオリエンテーションに、深月の母が参加していたわけじゃない!
どれだけ、母の影響で知識があるって思っていたって、所詮は素人なの!
私だって、ここにいる凛さんに頼るしかないの!
資格も、経験も、知識も、まだ追いつかないから。
まだ若い私たちは、『自分の母』っていう、いつか追いつき追い越す目標に向かって、努力できる。
未熟だって分かったのなら、そうするしか道はない。
そうでしょ?
自分を責めるな!
そんなことをしてる暇があったら、努力しようよ。
深月も、美冬も。
美冬のことを言わなかった華恋も。
誰も悪くない!
自分を責める理由なんて、何もないんだよ!
分かったら、これ以上泣くな!
自責の言葉を、吐くな!
この話は、ここで終わり!」
…………。
気がついたら、同じ病棟にいた人の視線が、一斉に私の方に向いた。
ちょっとした演説のようになってしまった。
言い過ぎたみたいだ。
気付いたら、呼び捨てにしてしまっていた。いや、あの女湯で呼び捨てでいいと決めたからいいのか。
「その熱さ。
いつもの論理的な思考はどこにいったの?
そう言いたくなるくらい、情に熱くなるの。
正しいことは正しい、間違っていることは間違っていると、ちゃんと自分なりに判断できる強さ。
医療従事者として、大事な素質よ。
そういうところも、鞠子さんにそっくりよ?
そういう素質を、ちゃんと見抜いていたのね。
さぁ、皆、早く屋上に向かいなさい。
皆をホテルまで送るための車が来てるわ」
凛さんが、拳に血が滲んだ深月ちゃんの手に包帯を巻きながら、そう言ってくれた。
そして、麗眞くん以外の皆は、リムジンに乗せられた。
麗眞くんとは、ここでお別れらしい。
華恋ちゃんの姿は見当たらないままだ。
「ああ、華恋ちゃんなら、ドクターヘリを出発させるところだった南さんに頼んで先に送らせた。
俺は相沢の車で研修センター戻るから。
おやすみ」
リムジンに乗って、ホテルに戻った。