「焼きマシュマロ美味しそう!」
「コラムサイトで読んだんだけど、バーベキューで焼きマシュマロやるの、もはや定番化してるんだって!」
コラムサイトなどという、なんとも女子力の高い単語が聞こえて来た。
焼きマシュマロに群がる華恋ちゃん、深月ちゃん、椎菜ちゃんを思わず二度見してしまう。
私は、そんなサイトがあったことすら知らなかった。
だから、2人はこんなに女子力が高いのか。
「美味しー!!」
幸せそうに焼きマシュマロを頬張る、女子の中の女子3人衆。
私も食べてみようかなぁ。
そっと、マシュマロを置いて焼いてみる。
「あつっ!
熱い……」
深月ちゃんが舌を出す。
「火傷したかなぁ……」
いい感じに私が置いたマシュマロが焼けてきた頃、そんなことを言う深月ちゃん。
「先生近くにいるなら氷持ってきてもらって舌の感覚なくなるまで舐めてるといいよ。
せっかく、先生のポケットマネーで買ってきてもらったアイスが美味しくなくなっちゃうの、嫌でしょ?」
「了解しました、理名先生!」
琥珀ちゃんだけでなく、華恋ちゃんも先生の元に向かった。
なんで華恋ちゃんも?
しかも、先生呼びなんて小っ恥ずかしいわ。
まだ「先生」なんて呼ばれるに相応しい資格も免許もないのに。
すると、彼女たち2人がそれぞれビニール袋を持って戻ってきた。
そういえば、アイスで思い出した。
私達のクラスは、ご褒美のアイスがあるんだっけ。
案の定、華恋ちゃんはアイスを持ってきた。
琥珀ちゃんは氷だ。
「ありがと……」
深月ちゃんは氷をさっそく口に含んでいる。
「氷は舌先に含んだほうがいいよ?
深月ちゃん。
痛みを感じるのは舌先だから」
「よく知ってるね、さすが理名先生」
「さすがです」
華恋ちゃんと碧ちゃんまでそう言うので、私は首を振った。
大した知識を持ち合わせてはいない。
私の知識なんて、まだまだ可愛いものだ。
医学部にも入っていないんだから。
もっともっと、知識をつけなければ、母のようにはなれない。
皆でアイスを頬張ると、琥珀ちゃんが羨ましそうに見ていたので、少しそれぞれのアイスを分けてあげた。
琥珀ちゃんが少し寂しそうな目をしていたのが気になって、その理由を尋ねてみた。
「羨ましいの。
こうやって、誰かと何かをシェアしたこととかないんだ。
お母さんはピアニストで世界中を駆け回っている。
お父さんもテレビの箱を通して、違う誰かになりきる仕事だったり歌ったりしてるから。
家で家族揃って夕飯なんて、月に1回あるかないかくらいなの」
「そっかー。
一人暮らししてないけど、一人暮らししてるみたいな、そんな感覚なんだね」
「そうそう。
琥珀ちゃんの親父、俺の親父と同じメンバーなの。
今度、親父に伝えとく。
そしたら、琥珀ちゃんがそう言ってたことが父親の奈斗さんに伝わると思うから」
女子同士の場に相応しくない、低い声が聞こえた。
その声の主はアイツ、麗眞くんだ。
数時間前まで、彼の周りに群がっていた女の子たちをやっとさばき終えたらしい。
言葉には出していないが、その表情にはわずかながら疲れの色が見える。
「じゃあ、琥珀ちゃんって、深月ちゃんや麗眞くんと一緒で……
えっと、芸能人の子供、ってことよね?」
芸能人の子供が3人もいる高校って、ある意味すごいなぁ。
牧場の経営者の人が何かが大量に入ったビニール袋とバケツを持ってロッジのようなところから出てきた。
「そろそろ焼くものもなくなってきたし、バーベキューだけじゃ飽きちゃうと思ったんだ。
せっかく来てくれたし、手持ち花火でもと思ってね。
一応大量に買ったけれど、売り切れ御免になったらそれは仕方ないと思って割り切ってくれ」
「わーい!」
皆が一斉に花火に飛びつく。
手持ち花火なんて、やったことないんだけどなぁ。
深月ちゃんを筆頭に、私たちも花火セットに向かった。
バーベキューよりも皆のテンションが上がっている。
経営者の方が麗眞くんの執事の相沢さんに頭を下げているところを見ると、どうやら彼が発案し、花火を買ってきたのも彼らしい。
花火だけではない。
琥珀ちゃんが持ってきた焼きマシュマロも、彼が用意したのではないだろうか。
だって、担任の先生が持ってきたにしては、流れが自然すぎる。
執事、ほんとにおそるべし……
正瞭賢高等学園。
『正しい明瞭な知識を身につけて、常に他人への配慮が出来る、賢い人材であれ』
そんな理念を掲げている、この学園。
なんでもありだなぁ。
「コラムサイトで読んだんだけど、バーベキューで焼きマシュマロやるの、もはや定番化してるんだって!」
コラムサイトなどという、なんとも女子力の高い単語が聞こえて来た。
焼きマシュマロに群がる華恋ちゃん、深月ちゃん、椎菜ちゃんを思わず二度見してしまう。
私は、そんなサイトがあったことすら知らなかった。
だから、2人はこんなに女子力が高いのか。
「美味しー!!」
幸せそうに焼きマシュマロを頬張る、女子の中の女子3人衆。
私も食べてみようかなぁ。
そっと、マシュマロを置いて焼いてみる。
「あつっ!
熱い……」
深月ちゃんが舌を出す。
「火傷したかなぁ……」
いい感じに私が置いたマシュマロが焼けてきた頃、そんなことを言う深月ちゃん。
「先生近くにいるなら氷持ってきてもらって舌の感覚なくなるまで舐めてるといいよ。
せっかく、先生のポケットマネーで買ってきてもらったアイスが美味しくなくなっちゃうの、嫌でしょ?」
「了解しました、理名先生!」
琥珀ちゃんだけでなく、華恋ちゃんも先生の元に向かった。
なんで華恋ちゃんも?
しかも、先生呼びなんて小っ恥ずかしいわ。
まだ「先生」なんて呼ばれるに相応しい資格も免許もないのに。
すると、彼女たち2人がそれぞれビニール袋を持って戻ってきた。
そういえば、アイスで思い出した。
私達のクラスは、ご褒美のアイスがあるんだっけ。
案の定、華恋ちゃんはアイスを持ってきた。
琥珀ちゃんは氷だ。
「ありがと……」
深月ちゃんは氷をさっそく口に含んでいる。
「氷は舌先に含んだほうがいいよ?
深月ちゃん。
痛みを感じるのは舌先だから」
「よく知ってるね、さすが理名先生」
「さすがです」
華恋ちゃんと碧ちゃんまでそう言うので、私は首を振った。
大した知識を持ち合わせてはいない。
私の知識なんて、まだまだ可愛いものだ。
医学部にも入っていないんだから。
もっともっと、知識をつけなければ、母のようにはなれない。
皆でアイスを頬張ると、琥珀ちゃんが羨ましそうに見ていたので、少しそれぞれのアイスを分けてあげた。
琥珀ちゃんが少し寂しそうな目をしていたのが気になって、その理由を尋ねてみた。
「羨ましいの。
こうやって、誰かと何かをシェアしたこととかないんだ。
お母さんはピアニストで世界中を駆け回っている。
お父さんもテレビの箱を通して、違う誰かになりきる仕事だったり歌ったりしてるから。
家で家族揃って夕飯なんて、月に1回あるかないかくらいなの」
「そっかー。
一人暮らししてないけど、一人暮らししてるみたいな、そんな感覚なんだね」
「そうそう。
琥珀ちゃんの親父、俺の親父と同じメンバーなの。
今度、親父に伝えとく。
そしたら、琥珀ちゃんがそう言ってたことが父親の奈斗さんに伝わると思うから」
女子同士の場に相応しくない、低い声が聞こえた。
その声の主はアイツ、麗眞くんだ。
数時間前まで、彼の周りに群がっていた女の子たちをやっとさばき終えたらしい。
言葉には出していないが、その表情にはわずかながら疲れの色が見える。
「じゃあ、琥珀ちゃんって、深月ちゃんや麗眞くんと一緒で……
えっと、芸能人の子供、ってことよね?」
芸能人の子供が3人もいる高校って、ある意味すごいなぁ。
牧場の経営者の人が何かが大量に入ったビニール袋とバケツを持ってロッジのようなところから出てきた。
「そろそろ焼くものもなくなってきたし、バーベキューだけじゃ飽きちゃうと思ったんだ。
せっかく来てくれたし、手持ち花火でもと思ってね。
一応大量に買ったけれど、売り切れ御免になったらそれは仕方ないと思って割り切ってくれ」
「わーい!」
皆が一斉に花火に飛びつく。
手持ち花火なんて、やったことないんだけどなぁ。
深月ちゃんを筆頭に、私たちも花火セットに向かった。
バーベキューよりも皆のテンションが上がっている。
経営者の方が麗眞くんの執事の相沢さんに頭を下げているところを見ると、どうやら彼が発案し、花火を買ってきたのも彼らしい。
花火だけではない。
琥珀ちゃんが持ってきた焼きマシュマロも、彼が用意したのではないだろうか。
だって、担任の先生が持ってきたにしては、流れが自然すぎる。
執事、ほんとにおそるべし……
正瞭賢高等学園。
『正しい明瞭な知識を身につけて、常に他人への配慮が出来る、賢い人材であれ』
そんな理念を掲げている、この学園。
なんでもありだなぁ。