週明けに行われた実力テストは理系はそこそこだった。

しかし、本当に文系科目がボロボロだった。

過労で高熱を出して病院で診てもらっていた深月。

彼女は1日で復帰した。

復習はしていなかったようだが、本当の実力で頑張ったとのことだった。

これをもとに、クラスの変動はないが、親を呼んで三者面談が行われるらしい。

父親になんて言おう。

チラリ、と華恋の顔を見ると、すっかり元気をなくしていた。

問題のある親を連れては来れないよなぁ。

華恋自身は、ウエディングプランナーを目指すために専門学校に通う進路を考えているらしい。

そして、行事がたっぷりの2学期が終わったら、本格的にアルバイトを始めたいようだ。

何か力になれればいいけれど。

そんなことを思いながら、日々の授業やら部活、文化祭の準備に追われていた。

部活動でも、後夜祭で披露する曲の練習をしているから、授業以外は文化祭の準備をしているようなものだった。

ロケハンをして良さげな喫茶店を見つけると、あらゆる角度から店内を撮影させてもらったのだという。
似たようなセットを組むために必要なことなのだそうだ。

男女協力して、一生懸命大道具や小道具をこしらえていた。

小野寺くんも、時々ゲストとして自分の父親を校内に呼んでいたようだ。

照明の当て方やカメラの動かし方などを学んでいた。

深月や華恋、美冬がキャストそれぞれの衣装も考案した。

椎菜と巽くん、私服でそれっぽい雰囲気が出た。

彼女の場合、元が大人びた顔立ちの上に、私服が大学生を通り越してOLみたいな感じを受けることもある。

全男子が椎菜に見惚れているのを、麗眞くんが一睨みすると、男子たちが蜘蛛の子を散らすように逃げていったこともあったっけ。

椎菜も椎菜で、麗眞くんのスーツ姿に見惚れていた。

「椎菜!

集中!

旦那に見惚れないの!」

「んも、だから、まだ旦那じゃないってば!」

準備はそんな感じの軽口も混ざりながら、和気あいあいとしたものになった。

椎菜が演じる役が喫茶店でバイトをする女の子だということで、所作を教える役は私になった。

一時期喫茶店、とは毛色が違うがレストランでバイトをしていたこともあるからだという。

バイトしてた時間、短いんだけど……

そして、私が当時バイトのときに着ていた制服を元に、喫茶店の衣装を作った。

協力してくれたのは、碧を送り出すパーティーのときに別荘を借りた女性だ。

伊達 香澄(いだち かすみ)さんの母親である、伊達 明日香(いだち あすか)さん。

彼女には、今回の文化祭のもう一つの目玉である男装女子女装男子コンテストの衣装もお願いしてある。

私も、実際採寸の為に何度か呼ばれている。

毎日が目まぐるしい日々はあっという間に過ぎていき、文化祭当日になった。