病愛。【完】

私は意識をもうろうとさせながら教室へと向かった。





生徒たちの視線を感じる。





公衆の面前であんなことやったら…






私はきっと有名人よね…






教室では私の話で持ちきりだった。





「綾香!!」





でも一番最初に話しかけてきたのは血相を変えた成美だった。





「今の…あの恭平じゃないの…?」





「…そうだよ。」





「なんで?!なんで拒否しないの?!」





「…それは…」













「あいつと伊藤は付き合ってるから。」






すると颯がやってきた。





「付き合ってる…?どういう…」




私は涙を流していた。




「綾香?!」




「こうするしか…なかったの…」




私は涙をたくさん流した。







「…ちょっと来い。伊藤。」





颯が私のうでを引っ張った。





「颯…?」





「あいつ…」




成美はそんな二人を心配そうに見つめていた。










「どうしたの?!颯!!」





すると颯は廊下の壁に私を押し付けた。




人気がない。





どうやら特別教室のところの廊下のようだ。





「なんであいつなんかと…?」





「…私が颯と真を護る術はそれしかなかったから。」






「…じゃあ俺の気持ちは?」





「え?」





「じゃあ俺の気持ちはどうなるんだよ!!」





そう怒鳴る颯。





私は声より、颯の切なそうな顔に驚いた。