病愛。【完】

やっと離してもらえると私は何度も息を吸ったりはいたりした。





ちょっとした呼吸困難におちいっていたのだ。







「これで証明されただろ?綾香はもう俺の物だってな…!!」





「そんな…!!伊藤!!」





私は颯から目をそらした。





もう私はけがれてしまったんだ。





私なんて…もう…









「夕ごはんできたわよ~」





陽気なお母さんの声。





私は恭平のうでを払うと下へと早足で階段をおりた。







「伊藤!!」






颯の声を背に私は家の外へと飛び出した。












あの時、二人を助けるためにはああするしかなかった…






私は自分の弱さをうらんだ。






もっと…私が強かったら…





きっと恭平にもあやつられず、二人だって助けられた。






私は弱い。





星の瞬く夜空を私は見つめた。







こんなに広い世界の中で、私は米粒より小さい。







私の存在なんてそんなもの。







キレイに輝く星の下にこんなに醜い自分がいることが恥ずかしかった。







私は汚い。





私は醜い。






私は…弱い。






何度も心の中でそうつぶやき…ついに地面にすわりこんでしまった。







こんな私を誰にも見られないように、縮こまって一人、涙を流していた。