病愛。【完】

「恭平は…恭平はどこにいるんだよ?!」



「綾香は…?綾香はどこにいるの?!」




二人は焦りをおさえられなかった。







しかし、恭平の母親はいたって冷静だった。




「恭平は今、部屋にこもってるわ。」




そこまで言うと恭平の母親はうつむいて




「綾香ちゃんも…そこにいるわ。」




「そんな…!!」




成美は愕然とした。




綾香は今、あの大嫌いな殺人鬼と一緒にいるってこと…?




「綾香っ…!!」




成美は自分を悔やんだ。




親友を助けに行けない自分を、とても情けなく思った。




すると家の中から電話が鳴る音が聞こえた。




「ごめんなさいね。よければ中に入って?」




恭平の母親はそう言うと二人を中に入れ、自分は電話のほうへと向かった。











「現実…なんですよね。」



「え…?」



朝輝が突然つぶやく。




「真があんな状態になってるのは…現実、なんですよね…?」




そう成美に必死に問いかける朝輝。




成美はうつむきながら




「そうよね…現実よ。私達は…この現実を受け入れなければならない…」




成美は朝輝に…また、自分に言い聞かせるように言った。