病愛。【完】

あれから数分がたった。



いくら待っても、真の声がドアの向こうから聞こえることはなかった。




「真…」



私は小さな声で真の名前を呼ぶ。



やっぱり暗証番号は見つからないのだろうか。



まだ探し続けているのだろうか。







…それとも。



そこまで考えたときだった。




ガチャっ…



鎖の解かれる音がした。







真…!!








真が助けに来てくれたんだって、そう…



























思っていた。





そんな私の期待はすぐに虚しく消え去った。




「綾香。」



びくっとする。




私の名前を呼んだのは…ほかでもない…




「恭平…っ」



見たくもない…悪魔の顔。




「真は…?真はどこにいるの…??」




すると恭平は不気味に笑い




「ああ。あの失敗作はな…」




恭平はそう言うとドアを全開に開けた。




そして下を指差す。




私はそれを見て…絶句した。



そこに倒れていたのは…紛れもない弟の真。




私がこの世ですごく大切な存在の真の姿____







「これで掃除は終わりだな。」








恭平はそう言って笑う。




「これで俺らの邪魔をする奴らはもういない。」




奴ら…?ってことは…




「まさか…真以外にも…?」




「ああ。お前の想い人…悪いが消させてもらったぜ。」




颯が…?




「嘘…でしょ?恭平?」




「嘘なんかじゃねぇ。」




恭平は真剣な顔でそう言う。




嘘。



絶対に嘘。



「なん、でっ…!!!」




受け入れられない現実を私は嘆いた。