病愛。【完】

颯side





伊藤…っ!!




俺は心の中で何度も伊藤の名前をさけんだ。




俺にとって最悪なこと。






それは伊藤が…恭平のモノになること。




それが一番恐くて、一番嫌だったことだった。




なぜ俺は察せなかったのだろう。




あの約束の日に真から連絡があった時…




どうして伊藤が来れないんだって問いたださなかったのだろう。




そう。すべては俺の責任なんだ…





ごめん。伊藤。




俺は…お前へ想いを抱く権利はないのかもしれないな…










夕日も沈んできた頃。




俺は走るのをやめた。




そして…すでにほとんど真っ暗になっている空を見上げる。




「一番星…」




空には一番星だけが明るく輝いていた。




「本当にごめん…伊藤…!!」




俺は涙を流した。




謝ることしかできなかった。




目に見えない伊藤に、何度も何度も謝るしか…


















「オイ。」




そんな時、突然近くから声が聞こえた。




振り返るとそこには…




「恭平…!!」





伊藤を攫った張本人。そして…





俺の一番憎むべき相手がそこにいた。