「貴女が好きだ」と広瀬くんが私にキスをしたあの時。
あれから私の気持ちは複雑にこんがらがって、一つの事実を私に突きつけた。
私が…………
広瀬くんに恋していたという事実を。
私の言葉に、広瀬くんは青褪めて頭を弱々しく下げた。
目はオロオロとしており、心底申し訳なさそうに。
「……すみ、ません。あの時は本当、僕は貴女になんてことを……」
「ううん、広瀬くん。私こそ、ごめんなさい。……そしてありがとう」
広瀬くんは、よく分かっていないという顔をした。
困惑。疑問。
それらが混ざったそんな顔。
真剣な瞳の彼を見て、ニコリと微笑んだ。
広瀬くんは、私と同じで鈍感だから、きっと私の気持ちには気付いていない。
だから言うね。
言葉で、真っ直ぐに。



