その夜、家に帰ってから広瀬くんへと電話をした。 ……ううん、わざわざ深夜を選んで、彼が出ないと分かっている時間に電話をして留守電を残した。 「……一ヶ月後、私と会ってくれますか?」 後日、携帯電話には広瀬くんから「はい」というたった二文字の留守電が入っていた。 短い言葉だったけれど、電子機械を通して聞く彼の声は少し掠れていて……。 懐かしい落ち着いた、優しい声色に、胸にジンワリと温かな何かが染み渡るような、そんな気持ちがした。