愛されたがり。





「森芝さんの事、好きでした。正直なところ、あのお店に通っていたのだって、初めは料理の美味しさに惹かれて行っていたけれど、次第に貴方に会うために行っていました」



広瀬くんに連れて行ってもらってから料理の味に感動し、次に一人で来た時に森芝さんに好意を持った。


美味しい食事を食べながら好きな人を眺め、アルバイトの朝風くんとお喋りをして賑やかに過ごす夜。


片思いの間の、幸せな時間だった。



「だから、貴方から告白された時はとても嬉しかった。本当に、すごくすごく。……本心ですよ?」



片思いが両思いだと分かった時の嬉しさは何ものにも代え難いものだ。



彼の広い胸に顔をうずめ、彼の大きな背中に手を回し、彼の温かな手で抱きしめられ、優しいキスをされた時、私は誰よりも幸せな女だった。



……ううん、だと思っていた。
けれど、違った。