愛されたがり。





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その晩、森芝さんと会うことにした。


彼の仕事終わりの時間帯に、近くの広場にやってきた。


春には花々が咲き誇る広々とした場所は、夜の闇に飲まれ寂しい。

別々の車でやってきた私達は、缶コーヒーを二つ買って、ベンチに座った。


私は、森芝さんと少し距離をあける。



「どうしたの?用って」



森芝さんが尋ねる。


甘く低く穏やかな声。

切れ長の綺麗な瞳が私を見つめてくる。

彼の大人っぽい匂いがする。

細い華奢だけれど肩幅があって程よく脂肪と筋肉がついた体が、黒いジャケットに覆われている。


少し火傷跡がある骨々した大きな手が缶コーヒーを掴んでいる。