愛されたがり。





彼の純粋な笑顔しか、今まで見たことがなかった。

いつも私に優しく微笑みかけ、犬みたいに嬉しそうに駆け寄ってくる。


けれど時折、大人の男みたいに熱を持った瞳で私を焦ったそうに見つめながら大きな手で私を愛でてくれるから、私は広瀬くんと共にいるのが堪らなく好きだった。


遊んでやろうと思った。

飽きるまで、いつまでも。



なのに。


まだ怖がりで臆病な少女の心を持った私は余裕を持った、大人で、自由奔放で、けれど誰をも惹きつける悪女に憧れて、なりきって彼を弄んでいるつもりだった。



しかし、なんてことだろうか。


私は彼に、本気になってしまった。


年下で、優しくて、犬っころみたいで、頼もしくて、格好良くて、弟みたいだと思っていた彼に。




広瀬くんが好き……




たった一人きりの部屋の中。


自覚した思いを言葉にすれば、スッと肩の力が抜け落ちた。



ああ、そう。

そうだったのか。




私は、広瀬くんに恋してたのか。