愛されたがり。





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バイト中は、上の空だった。



二名のカップル客を四名席に通したり、レジでクーポン券を提示されたお客様に驚くほど割引しかけてしまったり、赤ワインを注文の客に白ワインを出すという頓珍漢な事をしたり、凡ミスと言えるものをたくさんしてしまった。



同じバイト仲間に迷惑をかけてしまったし、店長の神楽坂さんに心配された。

お客さんにも、顔色が悪いと言われてしまった。



そんなこんなだったので他の人はシフトを延長、私は早退するということになった。


心配してくれているのか、厄介払いされたのか、よく分からない対応をされたが、正直帰れてホッとした。



家に着くと、崩れ落ちるようにベッドの上に寝転んだ。

真っ暗な部屋の中、私の啜り泣く声だけがある。




何故泣いているのか、何故泣きたいのか、それすら分からない。