ーー私は……誰かに心を乱されるのが嫌いだ。
それは例え、家族であろうが友人であろうが恋人であろうが同じこと。
だから、”嫌い”だと自覚したその時から、そんな面倒な影響を私に与えてくる人とは極力関わりを持つのをやめた。
広瀬くんだって、そうだった。
面倒な人ではない…何も影響されず、ただ楽しいだけの”どうでもいい”人だから今まで一緒にいた。
それなのに、私は……
何故だか彼の言葉に乱されている。
彼が私の中で、大きな面倒な存在になっている。
そのことに気づいて、もう嫌になって、逃げ出したくなって、その場を走り去った。
涙がドンドン溢れてくる。
痛い。泣きたくない。止まって。
頭の中に広瀬くんの、泣きだしてしまいそうな、寂しげな顔が浮かんでくる。
それを何度も何度も奥へ追いやった。
自分に強く「違う」と言い聞かせて。



