どうしてそんな目をするの?
どうしてそんな目で私を見つめるの?
もう答えはわかっているくせに、私は心の中でその質問を繰り返す。
「あなたは…僕を見てくれないんですか……っ」
絞り出したような小さな声。
小さい声のはずなのに、耳には驚くほど鮮明に、少しのノイズも入らず聞こえてきた。
「和泉さん、僕は」
凍ってしまったように体が動かなくなった私の体に、広瀬くんの手が触れた。
その手は私の腕に当たり、顎、輪郭をなぞって両頬に添えられた。
その間、視線はずっと合ったまま。
頭の中では沢山の言葉達が浮かんでは消えて飛び交っているのに、何一つ口からは発せられないし、体はピクリとも動かない。
動かせないのだ。
広瀬くんはゆっくり瞼を閉じて……唇と唇を重ねてきた。
微かに触れる、柔らかな感触。
ビクッと体がはねた。



