私達の秘密の挨拶。


まず名前を呼んで、抱きしめる。
そして、彼が私の髪を撫でる。以上。



何故こんな事を始めたのかわからない。
けれど、私は案外この挨拶が気に入っている。



いつの日だったか忘れたが、彼が一度
これを毎回嬉しそうに受け入れる私に

「撫でられるの、好きなんですか?」

なんて聞いたことがある。


それに私は、さも当たり前のように微笑んだのだ。



日々の日常に温もりがないと寂しいもの。
誰だろうと、愛は欲しいわ。



そう言った私を見つめて、彼は少し寂しげに微笑んだ。