「誰にあげるの~?」
そんな声が廊下から聞こえる。
多分、看護士さんかな?
それか、入院してる女子たち。
……あ、そっか。
街は、もうバレンタイン一色。
女子が男子にチョコを渡す月だっけ。
俺がもし、普通の中学生だったら、友達とバレンタインとか、好きな人の話とかしてたのかな。
俺は、ふと、窓の外を見た。
外には梅が植えてあり、満開に咲き誇っていた。
一月に蕾だった梅がもう咲いていた。
雪に負けないように、必死に。
はぁ、寒いのにすごい綺麗だな……
女子がキャッキャ言って、男子がソワソワする、2月のこと────。


