「どうして、謝るの?」 彼女の静かな声が聞こえた瞬間、涙を拭っていた手を優しく温かい彼女の手で包まれた。 「泣いてるところ、初めて見た」 彼女が、ゆっくりと言う。 「……泣いたのなんて、久々だ」 最後に涙を流したのは、いつだったろう。 これも、小さい頃だったかもしれない。 「……手、掴まれてたら拭えない」 僕がそう言うと、彼女は少しだけ柔らかく笑った。 「拭わなくても、いいじゃない」 彼女は、眉を下げて言う。