「……この男の子は……」 「うん」 「死ぬんだ。記憶を取り戻した後に」 僕の言葉を聞いた彼女は、驚いたのか長い睫毛を少し揺らした。 「……どうして?」 「……男の子は、母親に会いたかったんだ。たくさんの優しい人たちに出会って、少しずつ記憶を取り戻していくけど、何故か母親の顔や声だけが、まったく思い出せなかった」 僕は、自分の足元を見ながら話し続ける。 「母親から貰ったであろう、小さなネックレスだけが、その男の子との母親の記憶だった」