「確かにイレギュラーですが…
それだけです。」
私は振り返りもしないまま、そう、淡々と答える。
さっきので男たちは去った。
けれどなお、私たちの間には何故か、緊張した空気が流れる。
しばらく見つめ合う、でもなく睨み合うでもなく、お互い目線を逸らさずにいた。
すると彼が、
「君、ね、ちょっとうち、寄って行かない?」
彼は会話が続かないと判断したのか、私を少し強引に振り向かせた。
「ね?…イイデショ?」
なんて、彼は私に目線を合わせ、言う。
「お断りします。」
「なんで?」
「用があります。」
「急ぎなら、送るけど。」
「結構です。」
「本当は?」
「本当です」
「俺を騙して逃れられると思った?」
「…」
「分かってんならさ「無理です。」」
その質問攻めに私は、彼の言葉を遮った。
