「ね、君、」

私は特に逃げようとはせず、


「何か、」


足を再度止め、一言、彼に応じる。


「なんで、こんな時間に、しかも女の子がこんな物騒な場所うろついてるの?」


朧月、


桜並木、


どこをとっても綺麗な場所、


観光スポットと言われても納得するような綺麗なここは、


実は不良の溜まり場。



この道は、過去幾度と無く人の血で染められた、


一般人は決して足を踏み入れることのない、


そんな、ある意味有名な場所だった。



只今午前1時


確かに、こんな時間、こんな場所に、


私は不釣り合いだったのかもしれない。