お人好し。


心底思った。


私を利用しようと思ってない、なんて、


「信じると思う?」


私は、声色を変えて言った。


今まで散々、こんなことはあった。


きっと優しい人だったと思う。


そしてこの人達も、


きっと、


優しい。


ちょっと会話すればわかる。


あいつも、


そうだった。


1人だった私に、


手を差し伸べてくれた。


だから、


「そんな言葉だけの約束で、信じるなんて、できませんから。」


私はそう、突き放した。


みんな、私から突き放すことで、


離れていった。


諦めてくれた。


だから今回も、


「分かった。」


きっと、


「じゃあ、」


ほら、


「契約しようか。」


諦めてくれーーーーー、


「…え?」


「そりゃ、出会って2日の奴に信じろとか言われてハイそーですかなんて言う奴いないわ。むしろ今断ってくんなきゃ逆に俺らこれからが心配だった。」


「どういう…」


どういう、こと?


「そのまんま。俺らと、契約してくんない?」


「な、なんの…」


「お前が、本当に幸せになるまで、俺らが命懸けて守りますって言う、契約。」


…は?


「私が、幸せになるまで?」


「うん。」


「命懸けて守ります?」


「そう。お前は、契約期間中、俺らに大人しく守られておく。」


そんな、


本気でそんな、


「本気。ここの総長さん、呆れるくらい、お人好しなんでね。」


そう言って、私の目の前に出したのは、


「サイン、してくんない?」


本格的な、契約書。


そこには、今言ったことが、書かれていて、


「これなら、正式なやつだから一応、訴えられるぜ?」


どうして、と、


「あ、ちなみにこれを無くさずもってるって言うのも、お前の役目。」


どうしてそんなに、


「これでも、ダメ?」


私に、踏み込んでくるの?