「…どう?落ち着いた?」
唐突に彼は聞いてきた。
「はい、美味しいです。
昨日のは、メガネの彼が、淹れてくれたんですよね?」
私がそう返すと、彼はなぜか目を見開いて、それから、
「あー、そういえば名前…言ってなかったんだっけ。」
何て言い出した。
確かに、あの総長さんーーー光縷の名前しか聞いていないけれど、
「別に大丈夫ですよ。だって、余計な情報は、控えた方がいいでしょう?」
私がそう言うと、
「…え、何、まだそんなこと考えてたの?」
何て言われた。
そしてさらに、
「まさか、まだ出て行く気満々だったりするわけ…?」
「そ、それは…」
その通りだ。
返す言葉がなかった。
「はぁ…」
彼は呆れたようにため息をついて、
「…いいか?これから、お前は昨日みたいに襲われる。昨日は俺らがいたからいいが、一人だったら、今度こそ終わりだぞ?」
そして、
「昨日も言ったが、お前のことは調べたから…っつっても上辺だけだが、大体は把握済みだ。そんでもって、別に俺らはお前を利用しようって思ってるわけでもない。ただのお人好し集団だとでも思ってくれて構わない。
それを踏まえて、
しばらく、ここにいてくんない?」
“あんたみたいの、ほっとけないんだわ、俺も、うちの総長さまも”
そう付けたして、言った。
