俺らは確実に、
GPSのところに辿り着いた。
だがそこに、
詩織の姿は、なかった。
落ちていたのは、
「あいつ…気づいてやがったのか」
付けたはずの、GPS。
いつ誰に付けてもバレたことのないそれが、
あいつには、
見事に、ばれていた。
「くっそ…」
俺は柄にもない、悔しがるような声が、自然と漏れた。
別に俺は、あいつに情がある訳でもなんでもない。
ただ光縷のお人好しに、付き合っているだけ。
ただ、一度手を差し伸べた奴が、
中途半端に消えるのだけは、
ごめんだった。
「…特に争った形跡もない。」
こんな小型GPSが、踏み潰されることなく転がってる。
間違いない。
詩織は、
自ら、
「自殺同然だろうが、あのバカ…」
…。
「光縷。」
俺は一言、彼の名を呼んだ。
「ーーー西だ。」
彼は冷たい表情で、
その名を言い放った。
