「…は?」
私思わずそんな間抜けな声を出してしまった。
「一晩と、言いましたよね?」
「あーごめん、あーでもしないとあんた、来てくれないと思って。
いや、さ?ホントにたまたま、たまったまさ?見つけちゃったのよ。」
そう言って銀髪の彼はさっきのキーホルダーを取り出した。
「これ、さ、何だか知ってる?」
それは、私の昔の友達から貰ったキーホルダー。
“これ、お、お揃いだから…やる”
今でも、そんな彼の声が聞こえてくる。
それだけ、思い出深く、大切な、
私の、宝物だった。
「…それが、何なんですか?」
私がそう、聞き返すと、
「これ…こっち関係の、やばいどこから出回ってるやつなんだよね。」
なんて言いだした。
あり得ない、と思った。
だってこれをくれたのは、だった5歳の幼い男の子で、
それにもう、何年も前の話で…
「どうしてお前の手にあったのかは分からない。だが俺らが拾った時には既に、奴らはお前のことを知っていた。」
総長ーーー椎名光縷は、そう、冷静に告げた。
「だからそれを踏まえて、だ。
このままだとお前は確実に、狙われる。そんで奴らに捕まったら最後ーーー、」
話が急すぎて、ついていけなかった。
「命の保証は、ない。」
そんな言葉で怯む程、私の人生は楽じゃなかった。
昔から何かと悪い意味で的にされることはあった。
けれど、
「それは…私が、消されるかも、しれないと?」
死を突きつけられたことに対してではなく、
またかーーー
なんて言う、絶望感のようなものからだった。
どうしようもなく、
ただ、
こんなことに巻き込まれることしかできない自分が、
悲しかった。
